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あの作家は死んだのか
田所 永悠
作品概要:
約13分間の映像を用いた公演。
─薄暗い森を抜けると、そこには曰く付きの洋館があった。
あなたは物語に誘われ、一人の男の人生を追体験する。
なぜ男は死んだのか、そしてその運命を変えることはできるのか。
人の思いが入れ違い、壮大でちっぽけな。そんな愛の物語。
制作背景:
あなたは、どんな人間関係を経験しましたか?
私は大学生活の4年間で様々なすれ違いを見てきました。経験や立場、価値観等が大きく異なるため、当然のことです。その中で、学生故のコミュニ ケーションの不慣れさや歯がゆさは期限付きの感情だと感じ、何年経っても思い返せるよう制作に至りました。
体験を通して人の不出来さに煩悶し、もどかしく思い、導き出した結末から人間を愛おしく想えるよう取り組みました。
<優秀賞>
イマーシブ作品を体感/創作しつづけてきた作者が贈る、圧巻の舞台です。繊細な技術が要求される舞台進行をなめらかに設計し、物語の奥へ奥へといざないます。物語には二面性を持たせ、パラレルに進行させることで、鑑賞者にやや過剰な情報負荷をかけます。それにより想像性と発見性を高め、作品の重層的な味わいを可能にしています。極めつけは”鑑賞者が無自覚に物語を書き換えてしまう”仕掛けでしょう。わたしたちは何気なく生きる中で、人知れず他人の物語に参画し、書き換えさえする。その未来がどうか、わたしたちがしあわせと呼んでいる方角へと向かっていきますように。そんな読後感を与えます。また、舞台には様々な役者が登場しますが、特に男性声優の演技には聴き惚れることでしょう。舞台という装置を通して、自らの思想をエンタメとして昇華するに留まらず、他者が輝く機会を提供できている点も高く評価します。
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