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増田 乃秋
時間を、ひらいて。
日々のタスクや時間に追われる中では、
立ち止まって過去を振り返る時間は、案外少ないものだと思います。
この作品では、鑑賞者が悩みや日常の焦りを一度置き、
自分自身の記憶をゆっくりと思い出すための空間をつくりました。
鑑賞者はまず、悩みごとや心の焦りを紙に書き出し、
それを置いてから次へ進みます。
次に箱の中を覗くと、ひとつの時計が現れます。
そこで目にした時間が、
この作品の「あなただけのタイトル」です。
鑑賞者をその箱の中の時間に閉じ込め、その時間の中で、
何気ない日常を記録した映像を眺めてもらいます。
作者の記憶を覗くことをきっかけに、
自分の中にしまっていた記憶を
ゆっくりと思い出してもらうための作品です。
鑑賞の最後には、思い出した記憶を手紙に残します。
ここで過ごした時間とともに、
自分にとって大切だった記憶を持ち帰ってもらいます。
*
この作品をつくろうと思ったのは、
就職活動で追い詰めすぎて、精神的に苦しかったときでした。
忙しく、焦りを抱えた毎日の中では、
立ち止まって過去を振り返ることは難しいことだと思います。
時間は常に進み続け、
私たちは「次にやること」へ追われています。
だからこそ、時間を忘れて、
自分にとって大切だった記憶と向き合える空間を
つくりたいと思いました。
映像には私自身の記憶を使っていますが、
私の思い出を知ってもらうことが目的ではありません。
誰かの記憶を覗くことをきっかけに、
忘れてしまっていた、本当は大切だった記憶を
もう一度思い出してもらえたら嬉しいです。
過ぎてしまった時間を戻すことはできません。
だからこそ、たくさん思い出してあげてください。
そして、その大切な記憶が、
これからもあなたの中に残っていますように。
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